博士のけんきゅうしつ☆TA08★その5

あっ!貴様また勝手にわしの研究室に入りおって!

何?「急を要する」?どうせ今年のレギュレーションが発表されたからいち早く

準備したいとかそんなとこじゃろ。

図星か?まあこの時期はたしかにな。で、君のTA08は調子よくなったのか?

おかげさまで?博士のご指導の・・・ ストップストップ。

そもそも勝手に部屋に入っとったクセに何言っとるんじゃ。

ん?ボディとかウィングはTA08だとどれがいい?

あー・・・そうじゃな・・・

基本的にはどのシャーシだからコレが最適というのは決めようがないな。

君も体験したじゃろうが、同じシャーシでもセッティングが少し変わるだけで

大きく特性が変わるじゃろう?もちろん走らせ方によっても。「その人が欲しい特性」

というのは十人十色じゃから、このボディがいついかなる時も最強!というのは決めがたい。

それに、速度域の問題もある。ボディやウィングなどの特性を考えるときは、

空力とボディ自体の重さ、ボディの重量バランス、それらを分けて考えると良い。

うむ、そうじゃな、もちろん空気抵抗が大きく、速度が伸びにくいということも考えるが、

それはいったん無視して、まずは操縦特性を気にした方が良い。この理由はあとで説明するぞ。

実は、TA08というシャーシは他のシャーシよりもボディやウィングの影響を受けやすいはずじゃ。

その理由は、シャーシ自体の軽さじゃ。

いくらサスセッティングを工夫しようが、質量が軽いものはどこまでいっても軽い。

悪い影響もうけやすいが、同時に恩恵も受けやすいということじゃな。

さて、では実際にどうやって選んだらよいのかを順に説明する。

まず「空力」というものは、物体が空気中を移動するときに受ける力のことじゃな。

飛行機なら重い機体を浮かせ、車なら地面に押し付ける。

これは静止状態ではその力はゼロになる。あたり前な話じゃ。

もうひとつ付け加えると、物体の移動速度が速くなるほどにその力は強くなる。わけじゃ。

具体的には、17.5Tのクラスと10.5Tで走るクラスのマシンでは同じボディでも

まったく違う「重さ」が車体・・・つまりタイヤに掛かる。

実車なら命に関わるから風洞実験などを行ってその効果を検証するが、ラジコンなら

とっかえひっかえ実際に試した方が手っ取り早い。

どのボディがどういう特性かなど見ただけではまったくわからんからな。

どの速度域で試すかは、君に任せる。というか、歩く速度より速ければ好きな仕様でいいんじゃ。

そのくらいで十分違いが出る。もちろん速い方がよりはっきりと違いがでるじゃろう。

遅い仕様でいくつかためして、違いが判らなければ速くしたら良いじゃろう。

では試し方を教えるぞ。まず、リヤウィングを付ける。

できるだけサイズの大きな、最も効くであろうタイプで良い。

それを、「リヤタイヤに対しての距離」を決めて取り付ける。

説明し辛いので図をみてくれ。

 

赤の矢印がリヤタイヤの車軸からウィング後端の距離。

青の矢印が地面からウィング上端の距離(高さ)。

こうしないと、ボディ特性の違いなのか、ウィング位置の違いなのかわからなくなる。

 

このようにボディが変わってもリヤウィングとリヤタイヤの位置関係は同じにする。

 

図では分かりやすくするためにボディから離した位置にウィングが描いてあるが、

これは出来る範囲でOKじゃ。まあなるべくボディから離した方がウィングが効くようになるので

そのほうがいいかもしれんな。

ちなみに、「ウィング取付用の指定穴」は無視してよい。

もちろんボディの形や全高が大きく違ってもウィングだけは同じ位置にする。

あ、そうそう、ボディを変えるときはボディの最低地上高も同じに揃えてほしい。

最低地上高というのは地面からボディの一番低いところの高さじゃな。

 

まあ、ボディの形状によっては同じ位置や高さに合わせるのが困難なこともあるじゃろうから、

「なるべく」程度で思っておいてくれ。

これでボディを数種類試す。

で、試すのは直線と速度の高いコーナー一つで良い。

まるまる一周走る必要はないんじゃ。

直線をなるべく最高速度で走り、なるべく速度を保ったままハンドルを切りこむ。

急カーブではなくゆるやかな高速コーナーがベストじゃな。ほとんど減速せずに

曲がれるようなコーナーが良い。ハンドルも急ハンドルではなくじわっと切る。

その条件で、「最もハンドルが効く」ボディが「フロントのダウンフォース」が最も強いボディ。

となる。

「曲がる」ではなく「ハンドルが効く」というのが重要じゃ。リヤグリップが著しく低いボディや、

ボディ形状によってウィングに風があたりにくく、ウィング効果が薄いボディも存在する。

あんまりこういうことは言いたくないんじゃが、ここはちょっと意識を集中してじゃな・・・

何種類かテストするとき、同じボディも最低2回以上試してほしい。

やればやるほどデータの信憑性が上がるからな。

これで、手持ちのボディで一番フロントが効く物が見つかるはずじゃ。

それを順番に並べておく。これは非常に有効なデータとなる。

次はウィングを試す。

リヤグリップの特性?まあいいからちょっと聞いてくれ。というかこれを見てくれ。

 

これがウィングの効果じゃ。

 

青い矢印はウィングに空気の流れがある状態を示しておる。

そのとき、赤い矢印のように力が働く。

その力は、ウィングステー、ボディ、ボディマウント、サスペンションを伝わって

リヤタイヤを地面に押し付ける重さになる。

そしてフロントタイヤに注目じゃ。

リヤの車軸よりもウィングがうしろにあるため、リヤタイヤを中心にフロントタイヤを持ち上げる力が

働く。これによってリヤウィングを付けると「巻かなくなる」というわけじゃ。

つまり、リヤウィングの種類、取付位置を調整することで前後のグリップを変えられるということじゃな。

さっき選んだ最もハンドルが効くボディと、最も効くウィングをなるべくうしろに、高くセットしたら

前後のダウンフォースがもっとも強いパッケージングの出来上がり。となる。

これでフロントが効きすぎるならボディを少しフロントが弱いものに変えれば良いだろうし、

リヤが効きすぎるならウィングを変えれば良い。ボディ選び完了じゃ。カンタンじゃろ?

ん?なに?ウィングを付けられないレギュレーション?

そうか、そういうこともあるな・・・

よし、それはこんど教えてやろう。

じゃがつぎ来るときは先に連絡を・・・ なに?おっ、、スマン着信あったようじゃな・・・

 

 

このお話はフィクションです。登場する団体、個人は現実とは異なります。

しかしラジコンの理論に関しては多少信じても良いかもしれません。

 

 

 

 

 

2023年05月11日