博士のけんきゅうしつ☆TA08★その8

さてさて、ようやく夏の一大イベント「タミグラ北海道」も終わったことじゃし、

ようやっと落ち着いてくるな。

それにしても、TA08で最も激戦区となるGTクラスを制覇するといきまいとったアイツは

どうしとるかの・・・

おっと、噂をすれば。

タミグラお疲れさん。まあまあ良く走っとったじゃないか(笑)

なんじゃ?その不服そうな顔は(笑)別にバカにしとるわけじゃないぞ。

ワシも会場で見とったからわかるが、年々選手たちのレベルは上がっとるからな。

ん?点数?車の仕上がり具合の点数か?まあ、そうじゃな・・・72点。

特設会場でのレースや、常設でも地元の選手たちと積み重ねの差がある場合なんかで

70点以上の仕上がりなら十分合格じゃろ。なんなら60点でもいいくらいじゃ。

あとの30点はドライバーが稼ぐんじゃ。

当日の、その時の、車とドライバーのパッケージングが100点を超えた者が勝つ。

君ならそのくらいイケる・・・はずじゃったわけ・・・なんだがな(笑)

いくらテクニックがあろうが、速い感覚を持っていようが、少ないチャンスで30点稼げなかったのは

事実というわけじゃ。ま、十分わかっとる話じゃろうがな。

まあ、とは言っても最もパフォーマンスの「揺らぎ」が大きい要素は人間じゃからな。

たとえ90点止まりだとしても周りが全員80点台なら勝つじゃろうし、

逆に98点出しても周りが99点以上かも知れん。

ポーカーや麻雀みたいなもんじゃな。自分の手札が周りより強いかどうかは

場に出してみないとわからん。だからこそ、

みんなより強い手札を揃えやすいハイエンドマシンなどをこぞって使うわけじゃ。

リフェバッテリーと15.5Tモーターの組合せに、TRF420などのハイエンドマシンは

、字面だけ見れば明らかにオーバースペックじゃが、ハイエンドマシンが優れている点は

「よりドライバーに寄り添いやすい」という点じゃからな。

まあもちろん使いこなせなければ無用の長物。むしろ足を引っ張る可能性すらある。

しかし豊富に用意された調整箇所、それらを的確に設定し、なおかつその設定を

いつでも安定して発揮するための各部の剛性や精度。

しかし、ちょっとでも設定をミスれば、とたんにミドルクラスやローエンドマシンに

足をすくわれるのも事実じゃな。切れ味が鋭いと刃こぼれしやすい。

少しナマクラな方が力任せに使っても大丈夫・・・といった具合じゃ。

ん?TA08の弱点?もうとっくにわかっとるんじゃろ?

しかもそれは条件によっては利点でもあることも(笑)。

そう、シャーシ剛性じゃな。たしかに、今世に出ている電動ツーリングカーの中でも

1、2位を争う柔らかさじゃな。しかしこれはいつからか急に柔らかくなったわけではなく、

そういう風に最初から狙って作られたものじゃ。

そして利点も多い。というより利点の方が多い。

これは、この足回りの形状とも絶妙に絡んでおる。

別にワシはタミヤの開発に聞いたわけでも何でもない。あくまで想像じゃ。

しかし車の構造と、実際に使ってみた感触を鑑みて総合的に考えると

ミドルクラスのど真ん中狙い、オプションパーツと操縦テクニック次第でハイエンドを喰える。

ように作ったんじゃないかと思う。

特にローエンドマシンの次に使うと、走りの軽快さが際立つので速く走れるように感じるじゃろう。

最初の設定が若干曲がりすぎるようにも思うが、それもタイヤや路面の状況によっては

利点とも言えるしな。そしてシャーシの柔らかさは他のマシンが滑ってしまってどうにもならない状況でも、

「そこまでは滑らない」特性になる。「自分も調子悪いけど周りはもっと調子悪い」ということになる。

足回りの構造もそういう狙いが垣間見える。

ロアアームよりもアッパーアームが長いということは、深くストロークするほど

「ゆるやかに滑る」特性になる。言い換えると、深くロールしすぎると踏ん張らない。

勘違いしてはいけないが、「踏ん張る」というのはいいが「踏ん張りすぎる」のはダメなんじゃ。

低グリップなら急に滑るし、ハイグリップなら弾かれたように転倒。

そういう「急」な特性をマイルドにしているのがTA08の足回り設定じゃな。

その証拠に、後から出たハイエンドマシンで、シャフトドライブのTBエボがある。

これはまったく同じサスアームを採用していながら、実はアッパーアームの長さを設定できるんじゃ。

そしてシャーシ剛性も高い。なかなか憎い設計じゃ(笑)

加えて、アッパーアームがIアームではなくAアームじゃな。これによって足回りの重量も

増える。バネ下重量じゃ。これが重い方がタイヤはグリップする。

重い足回りと軽いシャーシ。そして無理なロールをさせても特性が激変しない足回り設定、

とどめに柔らかいシャーシ。これからハイエンドなレースをやっていきたい向けにはいいマシンじゃな。

正しく扱えば420に勝てるぞ。

しかしな、「もっと詰めていく」とさっき言った利点が裏目に出てくる。

いいことも悪いこともすべて車が吸収してしまうんじゃな(笑)。

セッティングだけでなく悪い操作もいいテクニックも吸収する。

あまり言及されていないが、タミグラで言うとSTクラスなんかは相性いいんじゃないか?

ローパワーなクラスでは不利な部分が出づらいからな。

?GTでのシャーシ剛性? まあ普通は十分じゃな。

しかしまわりの状況、レースのレベル次第じゃろ。

実はオプションパーツでかなりハイエンド寄りにはできる。

ショックステーやサーボステー、ステアリングクランクなどはアルミやカーボンなどの

素材変更でかなり変わる。曖昧な部分が減る・・・と同時にシビアさもでるがな・・・

それでも足りない場合?420を使え!と言いたいところじゃが、

実は、根本的には無理じゃが「一時的」に効果がある方法も、あるにはある。

君もさんざん経験しとるじゃろ?

そう、新品シャーシじゃ。特にこういう樹脂のメインシャーシを採用しとる車は、

1年くらい使うとけっこうヤレる。特別大きなクラッシュがなくとも。

ある程度セッティングが仕上がっているならほぼ間違いなくフィーリングは良くなるはずじゃな。

加えてカーボンやアルミのように高額ではないので、1年といわず大きなレースの前には

変えておくのがいいと思う。まあ、アッパーデッキなどのパーツが今後発売されれば、

そう頻繁でなくとも良いが・・・

当然変えたんじゃろ?新品に。

は?なんで変えてないんじゃ?前、誰かに言ってなかったか?新品にしろとかなんとか。

どうせアレじゃろ、メカ積み替えるのがめんどくさいとか、そんなしょうもない理由じゃろ!

大して忙しくもないくせに・・・まったく、困ったもんじゃな。

ボディにいらんステッカーを貼りまくる時間で交換できそうなもんじゃろ(笑)

ま、こういうめんどくさがりこそハイエンドマシンの方がいいのかもな・・・

うむ、ではまたな。次にやる車が決まったら教えてくれ。色々考えとく。

 

 

このお話はフィクションです。登場する団体名、個人は実際とは異なります。

しかしラジコンの理論に関しては多少信じても良いかもしれません。

 

 

2023年08月18日